自意識テクノ・ノイローゼだったの巻。

今日池袋まで映画『桐島、部活やめるってよ』を観に行った。
http://kirishima-movie.com/index.html


実は日曜に劇場までいったのだが、1日1回の上映で、1時間前に行ったのだが、満席売り切れで半泣きで帰るハメになり、今日は3:40上映なのに12時ちかくに行き、無事チケットが取れたのですが、今日も満席でした。

ストーリーはバレーボール部で高校で一番モテる桐島が部活をやめたことによるそのまわりの高校生の群像劇。
高校など学校の独特のあの雰囲気がとてもリアルに描かれ、見終わると、映画に出てくる登場人物の誰かに確実に感情移入してしまい、自分がどのような学校生活やその後の人生を送ったのがが凄く反映される映画でした。

あと自分にとって羨ましいと思っていたモテてイケてる奴らの苦悩なども描かれていて、それはそれで苦しいのだなと。ソコが描かれているのが凄いと思いました。

でワタクシはやはり映画部の前田君に100%感情移入してしまいました。

高校では美術部で、テクノを聴きまくり、大学では映像が撮れるということで、放送研究会に入り、ビデオで映像作品を作り、憧れの監督は塚本晋也ジョン・ウー!!(映画で前田君は塚本監督の『鉄男』を観ている!!)、その後テクノDJを始め、タケダくんと出会ってMC-307を購入。

その間全くモテないし、フラれてばっかり!!
映画であった前田くんが教室に脚本を取りに行ったら・・・のあの衝撃的な場面なんて何回も経験している!!

DJやればモテるかもなんて思いつつも、そもそもテクノが「歌がない、繰り返しばかり」とマイナーなジャンルでDJをしつつ、ふと顔を上げると盛り上がっているのは男ばかり!!(タケダくんやノゾムくんが奇声を発して踊っていたW) 

一方テニス部のDJやっている連中はヒップホップ系でイイ感じに楽しそうに見える。

結局みんなが女の子とデートだなんだやっている間、自分はひたすらノートに絵を描き、絵コンテを描き、DJの練習をし、307で曲を打ち込む。
そのルサンチマンとこじらせた自意識たるや、電力に換算すると原発一基くらいあるのではないかというくらいのである。

しかもその後もこの「自意識テクノ・ノイローゼ」をこじらせ、大好きだったテクノも、真夜中に寝ないで踊るクラブカルチャーに付いて行けないし、流行っているクリックハウスはピンと来ない。だからといって、エレクトロニカはどれを聴いても同じにしか聴こえないし、しかも自作のトラックをレーベルに送っても返事は無し。

そんな中で独自路線を暗中模索し、CD-Rアルバム「ひるの星座」(『ひびきは街から』に入っている「優しい祈り」が入っている)が出て、それがラジオで紹介され、妻と出会ったことによってようやくノイローゼが解消されていくんだけど、結構キツかった。


ってな感じで本当に個人的な経験を掘り起こされる映画である。
とても残酷だけれども、それでも何かに夢中になることを肯定してくれる作品ではあると同時に、あの時自分にとっては「隣の芝生」だった人たちにもいろいろな苦しみがあるのだなとわかる映画であった。

おすすめだけど、そろそろ上映があちこちで終了するので、ぜひ観て欲しいです。

あといろんな所で語られている映画なんで、映画を観たらソレを聴くのもオススメ。

TBSラジオ タマフル
9/15 放課後Podcast【前編】
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2012/09/915_podcast.html

9/15 放課後Podcast【後編】
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2012/09/915_podcast_1.html


ぷらすとアーカイブス『「桐島」、ぷらすとで話すってよ』
http://youtu.be/Yc5YWhY0nS4