アニメ映画『河童のクゥと夏休み』を見ての巻。

近所のレンタル屋がセール期間だったので、随分前から気になっていたアニメ映画『河童のクゥと夏休み』河童のクゥと夏休み』を借りて見た。

監督はあの映画史に残る名作『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』や『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』などを監督した、原恵一氏。

でこのアニメ映画、正直言って登場人物のキャラクターデザインがイマイチ惹かれないし、場面によってはかなり作画が荒れている部分もあって、どうしてもソレが気になってしまうのですが、その分演出や日常描写がずば抜けて素晴らしく、絵ではなく、演出で見せるアニメでした。

例えば、河童が街を逃げると、執拗に人間が携帯やデジカメで撮影しようとするシーンや、テレビに出れると浮かれて人が変わってしまうように感じられる部分、コンビニの描写などなど随所に印象に残る演出や問題定義の数々。

特に凄いと思ったのは最後の別れのシーン。普通ならば絶対に男の子が「クゥ~!!!」なんて叫ぶようなシーンになってしまう所を、ぐっと口をつぐみ、晴れた表情をする。ココでああ、きっと男の子は心の声でクゥに別れを言ったのだな~とわかるのです。

現代社会に対する問題定義も決して押し付けがましくなく、この状況ならば、世の中や人間はこう動くだろうなと思わせるリアリティーがあり、最後まで見終わって、なんだか心に残る映画でした。

近いテーマを扱っているアニメとして自分は『平成狸合戦ぽんぽこ』を思い出しました。でもポンポコは説教臭いし、テーマをセリフで言っちゃっているんだよね・・・

ただキャラクターの絵に魅力が無いのはアニメとして致命的かなとも思いました。でもあまり魅力が無いキャラクターデザインが逆にリアルな日常を切り取る機能を果たしているようにも思います。

このアニメ映画を見るといかに自分たちはアニメをキャラクターデザインで見ているのかがわかります。

まあみんな結局ジブリの絵を見たいわけで、最近のストーリーがグダグダor説教臭い内容でも「ジブリの絵」だから見れる部分もあるのかなと。

ちなみに監督原恵一氏の最新作『カラフル』は8/21公開だそうです。