今年とアルバム『音のはやさで』を振り返っての巻。

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 今年もあと1日であります。今回はhirotecとしての活動を振り返ろうと思ったのですが、ほとんどが七月に発売された2枚目のアルバム『音のはやさで』に関することなので、ならば、アルバムの解説を書こうかなと思います。

 正直作者が解説を書くのはどうかな?聴く人に委ねるべきではないのか?ってこともあるのですが、あくまでこれは自分の解釈であって、それが答えだとは思いません。
 自分の曲作りは最初にテーマがあるわけでなく、ひたすら307をいじってイイ感じのフレーズを重ねっていき、大まかな骨格が出来た時、ソレを聴いて今自分が一番関心がある事や感じた事を照らし合わせてテーマが出てくる感じです。それがタイトルになったりもします。まあ発売されて大分経ったので、良いかしらねって感じです。

アルバム『音のはやさで』はまだまだ絶賛発売中です。
http://www.elegantdisc.com/ELECD-28hirotec.html

ではアルバム『音のはやさで』の解説を書いてみましょう。

1 よりそう星
 この曲は確か今まで使っていたMIDIキーボードが壊れて、鍵盤数の多いヤツを買い直した時期に出来た曲です。なんとなく昔CD-R作品で作ったアルバム『ひるの星座』に近い雰囲気だなと思い、制作当時娘が「きらきら星」の歌を覚えて歌ってたのでタイトルに星を入れました。宮沢賢治の大好きな短編『双子の星』にも影響を受けています。(そもそも『ひるの星座』は凄い宮沢賢治からの影響が大きい作品でした)


2 ぼくのテクノ
http://youtu.be/oj8-LcQf6ck
この曲については制作した時にブログでも書いたのでそちらをお読みください。
↓コチラ
http://blogs.yahoo.co.jp/hirotecxmc307/64557087.html

様は90年代テクノ最高!!って思いを形にしたものです。
PVも制作しました。こちらはhirotecの日常を紙人形劇で制作。自分の日常そのままですw


3 たゆみない足あと
この曲が出来た時は確か反原発のデモが盛んに行なわれていた時期でした。足あとはデモ行進の足あとだったり、畑や田んぼに何十年と積み重なった農家の方の足あとだったり、そうゆう足あとへの敬意とそれを踏みにじろうとするものへの怒りみたいなものがテーマとなりました。


4 結晶
この曲はドスランプの中、なかなか曲が出来ず悩んでいた時に、いままでやったことないジャンルやBPM(曲の早さ)や音色を使ってみようと思い、今まで作った事無かったドラムンベースに挑戦した曲です。ただあくまでhirotecにとってのドラムンベースなので、レーベルオーナーに聴いてもらった時に「これドラムンベースです。」と話したら、「え?そうなの?」って言われましたw 音の固い感じがタイトルになりました。


5 ちいさなちいさな
http://youtu.be/CMpG_Yr3KgA
この曲は娘の保育園に保育参観に言った時の事を音にしています。ビートがファットなのも、保育園全体から聞こえる元気な子どもたちのドカドカした足あとが参考になっています。確かハイハットを適当にリアルタイムでクオンタイズをかけずに打ち込んで、イイ感じの所をループさせて、さらに余分な所をカットしと、かなりビートは凝って作りました。


6 振動
この曲からアルバムの雰囲気がシリアスになります。「振動」ってのは3.11、東日本大震災の事です。これは凄い悩んだ曲でそもそもあの震災を音にして良いのだろうか?って気持ちもありつつ、でも表現者としてこの事を音にしないと嘘を付いているような感じもあり、なかなか難航した曲です。ただ、自分の中で単なる地震津波の震動だけでなく、音楽の震動が伝わって、アベンジャーズのようなヒーローが人を救っていくようなイメージもありました。

 ちなみにアルバムタイトルの『音のはやさで』も、音のはやさで誰かを救えたらという、叶わないけれども思い続ける願いみたいなものを込めていたりします。

7 向こう岸
この曲は精神的にかなり参っていた時に、夜に新木場駅からぼや~と若州海浜公園まで歩き、そこで東京ゲイトブリッジがかかる向こう側の光景を見た時の事を音にしています。
 ずっと暗い中、人もいない道路を歩くと、橋の向こう側には光り輝くビル群が見えて、なんだか向こう側があの世のように見えました。走って引き返し、丁度来たバスに飛び乗った時の怖さと安堵感は今でも忘れられません。「振動」からこの曲に繋がる感じが、自分にとって結構意味があるように感じています。リズムパターンがじつは結構複雑な打ち込みをしているのですが、どうやって打ち込んだか忘れてしまい、もう二度と作れないリズムパターンですw


8 交差点
アルバムの中で一番わかりやすい四つ打ちの曲かもしれません。人が交わり交差していうようなイメージです。結構初期に出来た曲だったような気がします。


9 カラスと夜明け
これは最初にフレーズが出来た時に夜明けのようなイメージがあり、夜明けにカラスやスズメたちが鳴き始めるような感じを音にしようと思った曲です。たしかドラムに最初はスネアの音色を使っていたのですが、ソレをホワイトノイズという音色に置き換えたんですよね。この曲から今まで使った事のない音色、特にノイズ系を積極的に使うようになりました。


10 短い季節
この曲は最初にウッドベースフェンダーのジャジーなフレーズが出来て、そこに最初はヒップホップ的なビートを打ち込んでいたのですが、なんだかそれだと他の曲と同じだな~とモヤモヤと悩んでいたのですが、ある日娘とお風呂に入っている時に「ドラムの音色を生ドラムっぽいやつにしてジャズドラムのようなドラムパターンを打ち込んでみたらどうなるだろう?」と思いつき、風呂を出て娘を寝かしつけ、皿洗いをしてからアイディアを形にしてみた曲です。
 関係ないのですが、スネアをブラシで叩く音や映像を見ていると、昔志村けんのコントで、志村けんが真剣にブラシでジャズドラムを叩いていたら、実はスネアの上で焼きそばを焼いていたっていうヤツを思い出してしまいます。あ、こんな事を書いたら、この曲を聴いて志村けんを思い出してしまうではないかw


11 遠く近くに
波が打ち寄せたり引いたりするイメージで作りました。


12 待ちくたびれずに
この曲は娘がまだ小さくてゲージの中で遊んでいる時に作った曲で、娘がわ~と自由に遊んでいる感じを音にしたいと思って作った曲です。この曲も結構ドラムが特徴的かもしれませんね。


さてさて長々と解説を書いてしまったのですが、あくまでこれは自分が自分の曲を聴いて思った解釈であったりするので、聴いたもらった人のイメージを大切にしたいとも思います。あくまで参考程度で。

そして今年一年、お世話になりました。今年は2枚目のアルバムがリリース出来て、嬉しい反面、次回作へのハードルもまた高くなり、日々制作に打ち込んでいます。

来年がみなさんにとってよい年でありますように。