nujabesの最後のアルバムを聴いての巻。

去年の2月に交通事故で亡くなったnujabesの最後のアルバムが
発売された。

Nujabes / Spiritual State
http://www.hydeout-tribe.net/store/products/detail.php?product_id=142

すっかり発売の事を忘れていて、昨日ふと立ち寄ったディスクユニオンにアルバムが置いてあり、買って帰ってきました。

なんだかCDを再生させるのが怖かったのですが、帰ってすぐに聴きました。

アルバムの方向としてはヒップホップのトラックというよりもUyama Hirotoとのメロディアスで生演奏的な曲が多く、ひょっとしたらnujabesが亡くなっていなければ、この先コチラの方向性にどんどん移行していくつもりだったのかな?と思わせる内容でした。

おお!?と思わせるトラックやその音質はさすがにオリジナリティーがあって凄いな~と思う一方、なんだか生演奏的な曲もラップトラックも随分と音数が多く、妙な違和感がありました。

そして思ったのが、nujabesの開拓し、ハンパない数のフォロアーを生み出した、いわゆる「ジャジー・ヒップホップ」とはなんだったのか?がわかったような気がしました。

もともとヒップホップのトラックはラップという情報量の多いボーカを引き立てる、情報量の少ないワンループで出来ているぐらい、とても単調なループミュージックであり、さらに日本人にとって、USものならば英語がわからないと何を言っているのか、直接わからない音楽でした。

それだけ一般人(特に日本人は歌詞重視だから)には敷居の高い音楽だったのだと思います。
でもその中でもメロディアスなループの曲もあったわけです。

Nas illmatic-memory lane
http://youtu.be/JXBFG2vsyCM

nujabesはラップのバックトラックをよりメロディアスにし、情報量を多くしたのだと思います。しかもそのメロディーはわりと日本人が好む叙情的なフレーズを使っているのも特徴的だと思います。

nujabesのトラックはドラムが単調で薄い」という否定的な批評もありますが、多分情報量の多いメロディアスなフレーズに対してドラムがぶつからないように、情報量を減らしているのではないのかなと思います。

Nujabes - Lady Brown (ft. Cise Starr)
http://youtu.be/qjqTiQhOgU8

一枚目のアルバム「Metaphorical Music」はトラックのバランスが素晴らしいのですが、二枚目の「Modal Soul 」そしてコンピの「Hyde Out Productions / 2nd Collection」になると段々とドラム以外の音数が多くなり、コンピに入っているラップトラックだと、正直言ってラップを邪魔しているようにも聴こえていました。

同じラップでトラックだけ違うモノを聴き比べてみるとわかります。

↓コチラは初期のトラック
Shing02 + Nujabes - Luv(sic.) part 1
http://youtu.be/WCmT8QMyUwU

↓コチラは二枚目のアルバム以降のトラック
Nujabes - Luv (Sic)(Modal Soul Remix)
http://youtu.be/KYsk3s7srog

正直自分には後半の(Modal Soul Remix) のトラックは全くラップが生えないトラックだな~と思ってしまいます。ラップとバックトラックがぶつかっているように感じてしまいます。(感じ方には個人差はあると思いますが)

情報量の少なかったヒップホップのトラックにメロディアスという普遍的で普通の人にも聴きやすい音楽にし、情報量を増やしたのが「ジャジー・ヒップホップ」なのだとしたら、これは「足し算」の音楽
」だと思います。

nujabesはとても足し算の上手い音楽家だったのだと思います。
でもその個性が足し算だったとしたら、結局どんどん音数が多くなる方向性になっていくのは必然だったのだと思います。

そう思うと生演奏的でメロディーがハッキリしている曲が多い、今回のアルバムは納得いきます。

ただ自分はやはり一枚目のトラックのバランスや、アニメのBGMとして作られ、ワンループモノが多かったサムライチャンプルのサントラあたりの音がとても好きです。

Nujabes- Latitude (Remix) (Feat. Five Deez)
http://youtu.be/A5vNZuoW0bo
Aruarian Dance- Samurai Champloo Tribute
http://youtu.be/IXvJykx4jdY

あ~だこ~だとグダグダ書きましたが、自分にとって影響は大きいしnujabes音はいろいろな人によってずっと聴き続けられる音であることは間違いないと思います。